箱庭の夢【黒】 (ページ5)

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「A、そんだけしか食わないの？大丈夫？帰りまでもつ？」

「…普通だと思いますけど……」

机に山盛りになる菓子パンやらなんやらを見て、目黒くんが食べ過ぎなだけじゃない…？と心の中で思う。思うだけで口には出さないけど。

「目黒くんはいっぱい食べてますよね」

「まあお腹すいてるし…授業中、お腹すくと集中できないから」

でも、ラウールの方が全然食べるよ！ともぐもぐしながら言っていた。……ラウールさん、誰？

「目黒くんサッカー部だしお腹すいちゃうよね」

サッカー部、朝練も夕方練もあるというし、かなりハードみたいだし。やっぱり動いてお腹減っちゃうのは仕方ないのかも。目黒くんは確かサッカー部の中でもかなり上手くて、1年なのにレギュラー候補だとか。凄いなあ

「やべーね。朝練後に普通に弁当食っちゃうもん。おかげで昼は購買にダッシュ」

……え。あ、お弁当あったんだ。てか食べちゃったんだ。
目黒くんの胃袋、わたしの想像以上なのかも。ある意味尊敬かもしれない。

「Aは絵描いててお腹空かない？色々考えて描いたりするだろうし、頭使うとお腹すくじゃん」

「っえ？あー……お腹はすかないけど、甘いもの欲しくなるときはあるかも。集中途切れそうだな〜ってなったら飴とかラムネ食べたりしてますよ」

「あ！あべちゃんと一緒だ。あべちゃんも勉強の休憩中見ると、ラムネ食べてたりチョコ食べてたりする！」

岩本くんとよくチョコ交換してるし！と言う目黒くんはにこにこ笑っていて。目黒くんは本当に友達いっぱいなんだなあと改めて思う。もうこの世間話だけで3人も友達の名前が出てきた。残念ながら存じ上げないけれど、本当に仲がいいんだろうなあ。

「ふふ」

「？どうしたの？A」

「なんでもないよ」

羨ましいなあと思うと同時に微笑ましくてなんだかこちらまでにこにこしてしまう。こんなに楽しくお弁当を食べれるのはいつぶりだろう。

最初はちょっと警戒してしまったけれど、目黒くんとお昼一緒に食べれて良かったな、と思う。なんだかいつもより箸が進んだ気がして、それもまた嬉しくなった。