𝟐𝟎 ページ20
「嫌がらせされてるって本当？」
ぐしゃぐしゃな顔をしながら目黒くんは聞いた。
だれから、………
「向井くんから聞いたの？」
「…Aはわかりやすいね、こーじからじゃないよ、たまたまクラスメイトの女が話してたところ、聞いちゃっただけだから」
「……そうなんだ」
「俺の事、嫌いなの」
「、え」
「なんで俺の事頼らないの。クラスメイトだし、なにより友達じゃん。俺に話してくれれば良かったじゃん」
カマかけただけだったのに、こーじも知ってるってわかっちゃったし、なんでこーじには相談できて俺には相談できないの。
そんな風にぼそぼそと話す目黒くんは、クラスのみんなの前でいるような感じじゃなくて、いつもの目黒くんじゃないみたいだった。
「嫌いじゃないよ……むしろ、好意的に思ってるからこそ、嫌がらせされているっていうレッテルを貼られた状態で話したくなかった。弱い自分を見られたくなかった、って、ひゃ、っ」
話している途中で目黒くんに手を握られた。
目黒くんの手はあっつくて、わたしの冷たい手はやけどしてしまいそうだった。
「こ、好意的、って」
どーゆー意味、と聞いてくる目黒くんの耳は真っ赤だった。……やっぱり今日の目黒くん、変だ
「そのまんまの意味だよ。わたしなんかと友達になってくれて、絵も褒めてくれて、こうやって助けてくれようとしてくれて、」
「……友達として、てことね」
あーー、なんか恥ずかしいわ
そんな風に更にぎゅっと手に力をいれてくる目黒くんになんだかドキドキしてしまいそうだった。
「ごめん、A、大変な時に、俺、はず……」
「…えっ、あっいや…大丈夫、です。ごめん、わたしこそ、迷惑かけてしまって」
「迷惑だなんて思ってないから。だから…」
これからは俺の事、ちゃんと頼って、ね？
お願い、なんて薄く笑う目黒くん。目を逸らせなくて、ただ頷くことしかできなくて。こくん、と頷いて、また目黒くんを見つめて。いつの間にか溢れ出ていた涙は止まっていた。
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作者名：もりの | 作成日時：2024年4月4日 21時
