𝟏𝟔 ページ16
「？！目黒くん？！」
「Aが着てたジャージの苗字、向井だから……まさかとは思ったけど」
てかどういう経緯？なんでこーじと仲良いの？と聞いてくる目黒くん。……よかった、嫌がらせのくだりは聞いてなさそうだった。
「めめ、あんまりAちゃん困らせたらあかんって！」
「……こーじ、なんでAと仲良くなったって教えてくれないの」
目黒くんは拗ねているようだった。
「だってえ！俺、Aちゃん、苗字しか聞いてなかったんやもん！まさか、めめのよく話すAちゃんだなんてさあ」
え、よく話す？わたしのこと？え？なにそれ？
「ふーん…まあいいや、A、教室行こ」
「え、あ、」
「めめ！ちょっと待ち！Aちゃんの話が途中やねん、そこの端で待っといてええから、ちょっと借りるで」
目黒くんに連行されそうになったところで向井くんから助け舟が。
ちょいちょいと手招きをしてきたから、向井くんのそばに行くと、こそっと聞いてくる。
「……めめはさ、知っとるん？嫌がらせのこと」
「っ！」
「…知らんのか、黙っとるつもりなん？」
後々にバレそうな気もするけどなーと向井くんは言う。
……だけど、
「せめて、バレるまでは隠し通したい。…できればずっと隠しておきたいけど」
「…そっか。じゃあ俺からは絶対にめめに言わん。ただ、相談とかにはのるし、あんまりヒートアップするならめめの前にまず、先生に言わなあかんよ？」
「…うん」
頭ぽんぽんして、向井くんは優しく笑った。
「また、昼休みにでも作戦会議しよや。1組迎え行ってええ？」
「あ、…わたしが5組まで行きます」
向井くんもかっこいい人だし、仲良くしてる！と思われたらまたヒートアップするかもしれない。その場合、また向井くんにも迷惑をかけてしまうし、更に心配をかけてしまう。
「わかった！またあとでな」
ほら、めめ、Aちゃん返すで！と目黒くんの方まで送られる。
「あ、…」
「……教室、行こ？」
「…はい」
少し気まずい空気が流れながらも2人並んで教室へ向かう。
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作者名：もりの | 作成日時：2024年4月4日 21時
