箱庭の夢【黒】 (ページ15)

今日:98 hit、昨日:179 hit、合計:24,137 hit

𝟏𝟓 ページ15

数日後、わたしはそわそわしながら5組の前で向井くんを探していた。

「まだ朝早いし、来てないかな…」

彼の口振り的に、遅刻常習犯ぽくはあった。
朝が弱いのだろうか。…どちらにしろ、いないとなれば、お昼休みあたりに出直すしかない。

教室戻るかあ、と思って引き返そうとしたところで、あ！と聞き覚えのある声が聞こえた。

「Aちゃんや！大丈夫？風邪引いとらん？」

「あ…！向井くん、良かった、ちょうど探してたんです」

「？」

「これ、この前借りたジャージ…ちゃんと洗濯もしたので、大丈夫だと思います！」

「おー！ありがとうな！洗濯までしなくてもよかったのに！」

「いやいや、さすがに…」

借りておいて洗濯せずに返すのは…半日以上着てたものだし、さすがに申し訳なさが。

「わざわざ、紙袋に入れて持ってきてくれてありがとうなあ」

にこにことしてお礼を言う向井くん。こっちがお礼してもしてもしきれない。

「…そういえば、嫌がらせ、大丈夫か？」

心配そうに聞いてきた。

「あー…むしろ今まであんな派手にされることもなかったし。多分わたしが目黒くんと話してばかりで気に食わなかったから。ほら、目黒くん人気……って、あ、向井くん、目黒くんわかりますか？」

「…え、めめ？」

「…？めめって、誰の、」

ことですか、と聞こうとしてたら腕をぐいっと引っ張られる。

「やっぱり、この前のジャージはこーじか」

腕を掴んでいたのは目黒くんだった。